福岡の行政書士加藤清正です。福岡県行政書士会会員。当事務所は相続・暮らしの問題や、債権債務など、相談に親身に丁寧に対応します。

行政書士:加藤清正事務所

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2007年01月

リンク集

◇安藤行政書士事務所
http://jiko.main.jp/

◇社会保険労務士 坂口大輔事務所
http://hwopt.gate01.com/sakaguchi/index.html

裁判所風景 その6

裁判所風景 その6
昨年末、ぎりぎりの27日、N地裁に会社経営者の
自己破産を申し立てました。
その会社の破産にはこの3年間、ずっとたずさわっていましたので、
代表者の個人破産は私が申立書を作成するのがベストだと
思いましたし、O先生もそう言われるので、作成いたしましたが、
地裁書記官も十分に経緯を理解していただき、誠にスムーズ
に受理されました。
S家裁でも遺産分割協議を申し立て、同様に、スムーズに進行して
おります。むしろ専門職である我々の介助を感謝されました。
それぞれ、書記官の対応は非常にジェントルであり、申立人
に対しても丁重、当然作成者である我々にも、何の拘りもなく、
自然です。
すべて、当然といえば当然ですが、日頃業際論議に振り回され
ている私にとって、うれしい思いでした。
行政書士が声高に法律論を振り回し、出来もしない民事法務に
顔をつっこんで、裁判所や法務局に押し掛け、挙げ句の果てに
依頼者にまで迷惑をかけるような出来事が、今も続いている
事実を正面から見つめてゆかなければ、行政書士にとっての
司法参入は難しいことだと思います。

行政書士とADR 雑感

民事法務雑感(1月3日)
地元の行政書士会ではADR論議が盛んです。
行政書士会がADR機関としての認定を受けることを目指して
若い行政書士ががんばっています。すばらしいことと思います。
先日、そんな連中と飲む機会がありました。
研修を兼ねて市民相談会を開くそうですが、相続や債務問題、
その他の法律相談には応じないこと、というお達しが『上』の
方からあったそうです。
相続や債務問題など、権利義務に関する問題は弁護士や
司法書士に相談するように、相談者にはアドバイスを行う、
とのことだそうです。
相談者の抱える悩みは、やはり相続とか離婚とか、お金の問題が
多いはずです。話だけ聞いて、弁護士にいけ、とか司法書士に
相談しろ、では、はたしていかがなものでしょう?
それが良いのか、悪いのか・・・、論議はあると思います。
しかし、いずれにせよ、
やはり行政書士という資格者は許認可の専業プロなのだ、
すくなくとも、行政書士会では、そう願っている・・・
と実感させられました。
行政書士がADRに参入するとして、やはり中心は許認可でしょうね。
司法書士が登記の専門であり、税理士が税務の専門であるのと同じですね。

民事法務 その9

民事法務雑感(1月6日)
ウソかホントか知りませんが、こんな話を聞きました。
地元の某行政書士が相続問題の相談会を開催したときの話です。
司法書士会から厳重な抗議文を届けられたそうです。
曰く『相続業務は司法書士の独占業務であり、行政書士が関与することは
重大な司法書士法違反である』と・・・・。
私などは、聞いていて、妙な話だな、等と思うのですが・・・、

そういえば、以前戸籍謄本などを取得するための職務上請求用紙(行政書士会
で会員に対し販売しています)を購入する際、事務局で、同様の指摘を受けた
ことがあります。
行政書士は職務上、依頼者或いは関係者の戸籍謄本や住民票を取得することが
出来るのですが、請求目的を明記しなければなりません。その際、相続手続と
か調停申立とか、示談とか、『うさんくさい』目的を記載しないよう、注意を
受けるのです。
大きな理由は、そのような業務は弁護士や司法書士の分野である、というもの
です。
裁判所に関係するような業務については、私も、問題があると思います。しかし、ふつうの法律問題、特に相続については、長い年月をかけて先輩行政書士
が開拓してきた分野であり、実績も積み上げてきているわけですから、これら
を『司法書士業務』と決めつけて会員を規制する行政書士会の姿勢は、是認で
きないように思えます。
行政書士会がいうところの『悪徳行政書士』が跋扈する『現実』も無視できな
いのでしょうが、司法書士会がまじめな顔をして『相続業務は司法書士の独占
業務であり、行政書士が関与することは重大な司法書士法違反である』と言え
るのも、こういうところに大きな原因があると思います。
法律とか規制などというものは、常に現実を後追いで追認するものです。
行政書士会や司法書士会、弁護士会の認識を嘆くことや、いたずらに挑戦的
になることは、けして賛成できません。

やはり、一歩一歩努力を重ね、実績を積み、信用を重ねることが大切です。
行政書士だからやってもいい、ではなく、この先生だからこそ、是非相談に
のって欲しい、と言われるような、大きな信頼を勝ち取ってゆくことこそ
唯一の司法参入の道であり、その着実な積み重ねをこそ、法律は追認してゆく
のです。

それにしても、行政書士会などというものは、吉本流に言えば、「アホちゃい
ますかいな・・・」、などと・・・、いえいえ、私は、口がさけても、そんな
失礼なことは言いません。
ただ、こっそりと、そう思っているだけです。

相続放棄手続について考える

相続放棄について考えてみました。多少長くなりますが
全文を一気に掲載します。興味のある方は、是非お読み下さい。
ご意見やご感想など、お寄せいただければ幸いです。

その 1

相続といえば、財産がある場合だけで、うちには何も
財産がないから関係ない、という人のために・・・

相続はプラスの財産ばかりの話ではありません。
亡くなった方の借金も、立派な相続財産です。借金ならば
亡くなった時点である程度把握できているでしょうが、保証債務
となると、亡くなったご本人でさえ、忘れていることがあるでしょう。
でも、ある日突然、相続人であるあなたに督促状や、裁判所の訴状が
届くことがあるかもしれません。

そんな場合、どうしたらいいか?
『相続放棄』という手があります。
ただし、これには『相続発生後3ヶ月以内』という手続の期限があります。
もちろん場合によって、家庭裁判所に届ければ、この期間を延長する
ことも可能です。
しかし、実際には、借金や保証のことに全く気づかずに1年、2年と時間
がたってから、さて、とんでもないことになった・・・という話が多いのです。
当然に、いわゆる相続発生の時からは3ヶ月以上が経過しています。
さて、どうしましょう。
被相続人、つまり亡くなった方が親、兄弟など身近な方であれば、
葬式もあれば、法事もあるわけですから、死亡の事実は十分承知
していますから、その後で借金が判明したからといって、
いまさら相続放棄の手続などできないのでしょうか。

その 2

ここで関係してくるのが、民法915条の「自己のために相続が
あったことを知った時期」ということが問題になります。

私は、無いと信じ込んでいた借金や保証債務が突然判明したときが
いわゆる「自己のために相続があったことを知った時期」だ、と考えます。
実務上、そのように判断される場合が多いと思います。私のところでも
過去、何件も、このようなケースで相続放棄が認められた事例があります。
しかし、今回、下記のような事例が発生しました。

A,Bは5年前に父を亡くしました。実家は父の所有でしたが、今は
母が一人暮らしです。住宅ローンは多少残っていますが、母の年金で
支払える程度であり、A,Bともに当面実家を相続する気もないため、
相続手続は一切行わず、亡父の名義のまま放置されています。
ところが、亡父は友人Xの借金3000万円の保証人となっており、
家族はその事実を知りませんでしたが、そのXが破産し、突然保証会社
からA,Bに対し、亡父の保証債務を相続した相続人として、Xの借金を
代位弁済せよ、という通知が届きました。もちろん母親も亡父の配偶者
ですから、請求はきました。
そこでA,B、母親は残された土地建物を処分して債務を返済すること
にしたのですが、それでもまだ返しきれないほどの保証債務が残ります。

この件では、父親が死亡してから既に5年が経過し、いわゆる『3ヶ月』
は既に徒過していますが、私は、保証会社から通知が来た日を『相続発生
のとき』と考えて、Aさん、Bさんについて相続放棄申述を提出しました。
しかし、管轄の家裁の結論は、Aさん,Bさんともに、父死亡時に住宅の
存在と住宅ローンの存在を知っていた、という理由で申述を却下しました。

その 3

最高裁の判例でも、確かに被相続人死亡時に全くの無資産であった場合には
その後の債務発覚に関して、3ヶ月徒過後の申述を認めています。
つまり積極財産、消極財産のいずれも存在しなかった場合にのみ、期間経
過後の債務発覚に対する相続放棄申述を認める、ということですが、
実際上、父親の死亡後に若干の不動産と借金が残されたケースで、すべて
母親が受け継ぐ、という暗黙の了解の元に相続登記は何もやっていない、という
事例は多いと思います。私の事務所であった過去の事例もそうでした。

相そもそも続放棄という制度の法的趣旨は、相続人が、残された被相続人
の債務で苦しまないように、というものだと思います。
つまり、相続放棄は国民の権利の保護の為の制度であり、基本的人権に
基づく制度であると思います。
その趣旨から見れば、知らなかった債務 ― 当然知っておれば相続
することのなかったマイナスの相続財産 ― が突然発覚したとすれば、
発覚したときが『自己のために相続があったことを知った時期』である
と、考えてよいのではないでしょうか。

私は、Aさん、Bさんに、管轄家裁の審判に対して、即座に抗告の手続
をとるよう勧めました。
しかし、高裁の判断も、同一のものでした。

この事例における問題点は、父が死亡したとき、父の保証債務については
全く知らなかったとして、既にさん,Bさんは不動産及び住宅ローンの
存在については知っていた、ということでしょう。
しかし、その時点では、残された不動産、つまり積極財産の評価は
借金(住宅ローン)つまり消極財産を上回っており、その相続財産は
母のもの、という暗黙の認識があったのですから、いわば『黙示の
相続放棄』と表現しても過言ではなかったと思います。

このケースで相続登記を行うとすれば、書類上どのような形式で進めると
しても、つまりはAさんもBさんも、相続する意思がない旨、法務局に
表明するわけですから、実際にその後、父親の保証債務が判明したとして、
あらためて相続放棄を行うことは妥当であり、合理性があると思います。
相続放棄の制度趣旨から考えても、矛盾も違法性もないはずです。

一旦プラスの財産を相続した場合であれば、その後マイナスの相続財産が
判明したからといって、恣意的に、さかのぼって相続放棄を行うことには
問題があるとは思います。
しかし、本件では、A,Bともに実質的には相続手続を行っていない状況
だと考えられますから、債務発覚後の相続放棄は適法である、と考えられ
るべきではないでしょう。

この問題については、AさんもBさんも、最高裁に特別抗告されるそうです。