福岡の行政書士加藤清正です。福岡県行政書士会会員。当事務所は相続・暮らしの問題や、債権債務など、相談に親身に丁寧に対応します。

行政書士:加藤清正事務所

2012年09月14日

無題

先日、拙宅の飼犬が近所のあぜ道で 舞い降りたシラサギと 何か話をしている
ような そんな光景を見ました。その風景を材料に、掌編小説を書いてみました。
まだ題を決めてませんので、「無題」ということで 掲載してみます。あくまで
創作ですから、真剣にお読みいただくと恐縮するのですが・・・


 その頃母は精神を病みバスで三駅程の病院に入っていた。もとより父母は不仲である。女癖の悪い父の性癖が母の病の原因だった。母は叶わぬ父への愛を私に向けることで生きがいを見出していた。幼かった私も父よりむしろ母を慕っていたと思う。
ある日私は母恋しさにひとりバスに乗り母のいる病院に向かった。もとよりバス賃の持ち合わせがあるわけでもなく、父がいつも金をしまっている箪笥の引出しから千円札を持ち出したのだが、病院に行ったとて母への面会がかなうはずもなく、バスの車掌から手渡されたはずの釣銭まで紛失する始末に、帰宅した父からひどく叱られた。
「父ちゃんに内緒で母ちゃんの病院に行ってどうするつもりだ。そんなに会いたきゃお前も一緒に入院してしまえ。おまけに黙って箪笥から千円も持ち出して、泥棒とおんなじじゃないか」
 息子が母会いたさに無断で金まで持ち出したことは父にとって許しがたい思いだったに相違ない。返ってこない千円札もきっと痛かったであろう。町役場に奉職する父の俸給が一万円に毛が生えた程度の頃の話である。
 私はただ泣くしかなかった。
 翌日、父は子犬を連れ帰った。
 「真知子おばさんのところで生まれた犬だ。お前が可愛がってやれ」
 父の妹真知子の婚家に飼われている柴犬を何かにつけ私が可愛がっているのを父も知っており、産まれた柴犬の子を譲り受けたという。私はチビと名付け、起居をともにして可愛がった。チビは母の居ない無聊をかこつ最良の友であり、物言わぬ瞳で見つめるチビに私は母をさえ感じていた。チビとの散歩は私の日課となっていった。
 ようやく炎暑も和らぎ涼風が青くこうべを垂れ色づき始めた稲田の上を吹きわたる午後、私はチビを連れて散歩に出た。チビは先に立って首に結ばれた紐でむしろ私を引っ張るように尾を振りながら走ったが、道路を横切り、右に曲がって嘉麻川の堤防沿に二十メートルほど進んだとき、足元の石に躓き、私は思わず手に持った紐を放してしまった。『無二の友』とはいえ子犬である。チビは嘉麻川の堤防をたちまち駆け下り、稲穂が風にそよぐ田の畔道を走り去った。私も後を追ったが所詮小学生の叶う相手ではない。チビは百メートルも先をかけてゆく。
 チビはこのまま私の許から走り去ってしまうのではあるまいか。
走り去るチビの姿が母に重なり、私の愛するものすべてにも思えた。チビが行ってしまう、母ちゃんが行ってしまう。みんないなくなってしまう、私は駆け下りた畔道にしゃがみこんだ。
 そのとき、空を舞っていた白鷺が一羽、走り去るチビめがけて舞い降りるのが目に入った。犬が鷺やカラスを追いたてる姿はよく目にする。しかしこんな光景を見るのは初めてである。
 チビも足を止めて舞い降りる白鷺を見ている。
と、畔道に降り立った白鷺は二歩三歩チビに近づくと長い首をかしげ、チビを見下ろしている。チビも白鷺を見上げている。チビと白鷺の距離はほんの一メートルあっただろうか。数秒か、十数秒か。白鷺がチビに何か語りかけている、私にはそうとしか思えなかった。
 やがて白鷺は翼を広げ、大きく羽ばたいて暮れなずむ青空に飛び去り、チビは私に向かって猛然と走りだし、畔で座り込んでいた私の許に戻ってきた。
首をかしげチビを見る白鷺と見上げるチビの姿は数十年経った今も私の心の印画紙にくっきりと焼き付けられ、色褪せることはない。
 母の病が癒えることはなく命を終え、父は再婚した。その継母にはなじめないまま、チビだけが私の友であり安らぎだった。チビは長く生きたが、年を経て足腰が弱り、目や耳も不自由になって、私が東京の大学に進学し家を出ると間なしに死んだ。
 やがて父も継母も世を去り、私は長く勤めた会社の定年を迎えて実家に戻った。
 今、かわらずに舞遊ぶ鳥たちや嘉麻川のせせらぎ、晴れ渡る青空に浮かぶ雲を見る折々に、チビと白鷺の、あの日の光景を昨日のことでもあるかのように思い起こしている。
                                  
                                 了

不識天月 但鑑池月

仏教の教えに「不識天月 但鑑池月」という言葉があります。
人は中天に輝く月を見ることなく、池の水面に映った月の姿
のみを見て、これを月の姿だ、と思い込んでいる。水面に映
った月の姿が吹く風に揺らぎ、波にさざめく、その様を見て、
心に不安を生じさせ、漠たる悩みに心を曇らせるが、面を中
天に向け、しっかり眼を開けば、真実の月は大空に輝いている。
人はただ、月の真の姿を見失い、自分の心のみを己の判断の
よりどころとして不安におののいているだけなのだ、という
言葉です。
私なども、所詮ちっぽけな自分のカラに閉じこもり、日々悩み
苦しんでいるのかもしれないなあ、と反省させられます。
心していきたいものと思います。

2012年07月10日

あっちむいて ほい

真田広之主演の映画『亡国のイージス』で「進むべき
道を見失った国に守るべき未来はあるのか」 といった
意味のフレーズがあり、今も心に残っています。
最近の消費税税率アップをみていると、この言葉が
心に浮かびました。

ヨーロッパの実情や現在の財政状況をみれば、私も
消費税の税率アップは避けられないだろうと思っています。
ただ、野田さんの口から「(消費税アップを)決められない
政治からの脱却は国民の思い」だとか、「やるだけのこと
(増税)はやりきってから国民の審判を仰ぐ」などと言われ
ると、この政権に一国の未来を託してしまった愚かさが悔
やまれます。
そもそも「増税」という言葉を一切使わず『社会保障と税
の一体改革」などと、オブラートに包む発想はいかにも官
僚的で、聞くたびにイャーな気がいたします。

鳩山さんも、菅さんも いろいろ批判はありますが、多分
それなりにがんばったのだろう、という部分はわかる
気がします。大震災と原発事故で菅さんは批判を浴びまし
たが、人にはそれぞれの『器』があるわけで、これはやむ
を得ないのでしょうね。民主党が政権をとった、という既
定事実を是認する限り、これは批判、評価の外の問題なの
でしょうね。

石原都知事が絶対正しい、とは私も思いませんが、あの
強い言葉にある種魅かれる自分が怖いな、と思います。

政治向きのお話には賛否があり、「あぶない、あぶない」
と思いながら、ついつぶやいた今日の加藤でした。

2012年07月05日

それにしても雨

以前、元総理の細川さんにお目にかかる折があり、揮毫をお願いして、
「明日は御座なく候」と書いていただきました。自宅の座敷に掛けて
自分の座右の銘にいたしております。明日はない、今日しかない、今
しかない、という箴言ですが、実際にはなかなか、言葉通りにはまい
りません。そんな時に自分を慰める こんな言葉を 自分の書斎には
かけております・・・「今日は今日 あらん限りは飲み暮らし 明日の
憂いは 明日ぞ憂へむ(大隈言道)」
何といい加減な私なのだろう、と自分で感心してます。

何でも、プラスもあればマイナスもあります。自分という存在は同じ
でありながら、考えることは毎日日々、右へ行ったり、左へ行ったり
上ったり、下ったり・・・人は皆、そのような存在なのではないかと
思います。
自分は自分らしく、天から与えられた一本の道を、触れ合った皆様から
勇気をいただきながら、進んで参らねば、と思う毎日です。

それにしても、毎日 雨がやみませんねえ。

2011年01月13日

財産放棄(相続放棄)と債権回収

行政書士加藤清正事務所 福岡

相続放棄シリーズ
『財産放棄と債権回収』

相続放棄手続を考える ということは、早い話、亡くなった方が
プラスの相続財産を越える債務を負っていた、ということです。

ということは、裏返して言えば、その方が亡くなり、相続人が相続
放棄をなさったことにより、債権が焦げ付いた方がいらっしゃると
いうことです。

さて、そうしますと、相続放棄されてしまった債権者は もう債権の
回収はできないのでしょうか。
この場合、亡くなった方が 生前どの程度の財産をもっていたか
ということが一番の問題です。  何も財産をお持ちでない方の
場合であれば 残念ながら、債権の回収は無理だと思います。

しかし、多少なりとも相続財産をお持ちの方だったならば、そして
相続人が皆さん相続放棄をなさっていれば、家庭裁判所に申し
立てて『相続財産管理人』をえらんでもらいます。
その上で、管理人に対して ご自分の債権を届け出ることになり
ます。
この手続きは、やはり専門家に相談されるほうがよいでしょうね。

「相続財産管理人選任申立」は私も経験がありますが、手続き
が煩雑で、とても時間がかかります。しかし、その必要があれば
けして不可能な道ではありません。ご相談ください。


筆者プロフィール

自分でできるか 相続放棄 

行政書士加藤清正事務所 福岡

相続放棄あれこれ 自分でできるか『相続放棄」』

割とよくお尋ね頂くのが、相続放棄手続は自分でやれますか、
ということです。今日は そのあたりのお話しを一席・・・

基本的に 相続放棄の申述手続きはご自分でできると思います。
少なくとも 多少のアドバイスを受ければ 十分にできます。

まず戸籍謄本や住民票など、必要な書類をそろえる。

相続放棄申述書を書いてみる。

認め印を持って家庭裁判所に行き、確認を受けてから提出する。

つまりは 以上の段取りを進める ということです。

そんなに簡単だったら、なぜプロが必要なのですか、という疑問が
でてきますね。それは、内容によっては複雑な判断を必要とする
こともあり、もっと一言で言えば、イタリア料理でもフランス料理でも
料理の得意な人ならば、レシピを見れば、結構おいしく作れたりし
ますよね。でも、やっぱりプロの味はプロのものです。
例えは あまりよくありませんが、そのようなものかも知れません。


でも大丈夫。ご自分で手続をしてみよう・・・そう思われたら、お電話
ください。結構頼りになりますよ。

加藤清正(清允)でした。

筆者プロフィール

2011年01月12日

相続放棄  そこが聞きたい

行政書士加藤清正事務所 福岡

相続放棄 『そこが聞きたい』

相続放棄について よくお尋ねをいただきます。相続放棄は相続開始
後3ヶ月以内に相続が開始された場所を管轄する家庭裁判所に申し述
べること・・・つまりこれを相続放棄の申述、というのですが、そのこと
については みなさんは大体御存知のようですので、今日は、実際に
相続放棄の申述を行う場合に必要となる基本や書類について、簡単に
まとめてみましょう。

① どこに書類を提出するか

  なくなられた方の住居地を管轄する家庭裁判所です。
  申し立てる方の住居地の家庭裁判所ではありません。

② どんな書類が必要か

  基本的に なくなられた方とご自分との関係を証明する戸籍記録です

* なくなられた方の戸籍謄本と住民票
* ご自分の戸籍謄本と住民票

③ なぜ相続放棄を行うかの理由を説明する必要があります

  正確な資料やデータまではいりませんが、相続財産より債務の方が
  多いから、或いは 相続する意思がないから など 合理的な説明が
  できる程度には 把握しておきましょう。財産、債務の状況も わかる
  限り 把握しましょう。でも わからなければ それはそれで 大丈夫
  です。

④ そして、「相続放棄の申述書」という書類ですが、これは家庭裁判所に
  行けば 相談に乗ってくれます。

なくなられた方が配偶者や親ではない場合には、戸籍記録も多少ややこ
しくなることもありますが、基本は一緒です。

被相続人死亡後3ヶ月を過ぎてから申述をする場合などには、他にいろ
いろな書類が必要になる場合が多いのですが、基本はこのようなところ
です。
わからないところがあれば、お気軽にお尋ね下さいね。
では又・・・

by 加藤清正(清允)でした。

筆者プロフィール

2010年12月21日

相続 印鑑がもらえないⅡ 住居表示と登記上の所在地

行政書士加藤清正事務所 福岡


相続 印鑑がもらえないⅡ
不動産の表示が住居表示の場合

相続手続で最も困るのが 印鑑がもらえない、という場合です。
相続財産と言えば、まず土地建物、そして預貯金が最もポピュラー
です。しかし、いずれも相続人全員の署名捺印、しかも実印と
印鑑証明書 というのが鉄則です。
これがいただけないばっかりに 2年かかった 3年かかった、
あるいは5年たったのにまだできない、などといったお話が多いのです。

このようなトラブルを回避するための「錦の御旗」が公正証書による
遺言書です。少なくとも不動産に関する限りは、この公正証書遺言
があれば、その遺言書により不動産の相続登記ができるのです。

普通の遺言書(本人が手書きで作る自筆証書遺言)でも、裁判所で認め
てもらえば登記は可能です。この手続を「遺言書の検認」といいます。
ただここで大事なことは、遺言書に記載される不動産が 登記簿謄本
に記載されたとおりの表現でないと、登記には通用しません。
つまり、日本の住居表示、例えば○○町1丁目1番地 という住居表示
は、不動産登記で用いられる所在地表示とは異なる場合が多いのです。
不動産登記上の所在地は 法務局で登記簿謄本を調べるか、市役所から
送られてくる固定資産税納付書を見ればわかります。公証役場で遺言書
を作る場合は、この点非常に慎重です、逆に言えば、登記に使えないような
遺言書は作りません。
しかし、個人で遺言書を書く場合には 住居表示と登記簿上の表示は大変
間違いやすいところです。

もし不幸にして間違った遺言書が残されていた場合は、私だったら、遺言書の
趣旨に添った内容で遺産分割協議書を作りますが、結局実印、印鑑証明書、と
いう話になってしまいますね。

印鑑、遺言書については 又書きます。

筆者プロフィール

相続 印鑑がもらえない 

行政書士加藤清正事務所 福岡

相続 「印鑑がもらえない」

相続手続のなかで最も苦労するのが遺産分割協議です。
相続人の署名、捺印、そして印鑑証明書をいただくことです。
私の経験でも、様々な理由や事情で、印鑑をもらえない、
印鑑証明書をいただけない、ということが何度もありました。
日本は何事に依らず、印鑑や印鑑証明書が極めて重要です。
瀬は、何故相続手続がもめるのでしょうか、印鑑をもらえない
ケースとは どのような場合なのでしょうか。

最も多い理由は、遺産分割の条件が不満足、というケース
次に、余計なわずらわしさに関わりたくない、というケース
そして、実印や印鑑証明書を求められることに対する警戒感
といたところが多いと思います。特に、相続手続の場合は、
公正証書いごんによる不動産登記の場合は別として、
不動産登記でも 銀行手続でも 必ず実印、印鑑証明書が
必要です

では実際に、そのようなケースでは どうすればよいか。
私は、お話し合いが難しい場合には家庭裁判所に調停を申し
立てます。或いは既にもめてしまっている場合は審判、という
ケースもあります。
調停の場合は家庭裁判所の調停委員が相続人間の調整を働きかけ
てくれます。審判であれば、いわゆる裁判のようなもので、
裁判官が結論を出してくれます。いずれも多少時間はかかり
ますが、私は 良い方法だと思っています。
私の経験で 最も長くかかった調停は 申立から3年・・と
いうケースがありました。
各相続人の思惑、過剰期待、逆に無関心・・・なかなか相続は
難しいと思います。

筆者プロフィール

2010年12月15日

いただいたコメントに

行政書士加藤清正事務所 福岡

ブログに不慣れなせいで、皆様からのコメントを
しっかり拝見しておりませんでした。

私のような者のブログでも 皆様に読んで頂いて
いることがわかりました。 ありがとうございます。

以前に『資格者の垣根』というテーマで愚痴ったこと
があるのですが、やはり厳しいコメントを戴いてました。
行政書士の視点から他の資格者の話題をとりあげるこ
とは、特に批判的にとりあげることはコンプレックスの
裏返しだ、というご指摘です。
自分では そのような意識ではなかったつもりですが、
やはりご指摘は正しいと思います。今後は 少なくとも
ネガティブキャンペーン などというみっともない話は 
書かないように気を付けようと思います。
自戒、自戒、自戒
ご指摘 感謝です。

私は 河島英五の「時代おくれ」が大好きです。

目立たぬように、はしゃがぬように
似合わぬことは 無理をせず
人の心を見つめつづける
時代おくれの男になりたい

こんな人生が私の理想です。
ちょっぴり お金も欲しいことは欲しいのですが・・・
でも、貧乏神も又 「神」ですから 
それなりに 大切にしなければ・・・

今後とも よろしくおねがいいたします。

呉服町 ご隠居